おばあちゃんのお嫁入り

80歳を過ぎているから
おばあちゃんなんだろうけど…
若々しい風貌から
おばあちゃんぽさを感じさせない
その女性には
身寄りがありません。


認知症になってからは
ご主人が本人を支えていたけど
病気になってあっという間に
お亡くなりになったそう。

女性一人が残された。
子供はいません。
包括支援センターが介入して
生活実態が見えてきました。

金銭管理は困難な状態。
食事もきちんと摂れていない。
他者の支援を受け入れず
大声で怒鳴りちらす。
時間かまわず近所をたずね
体調不良を訴えて
救急車を呼ばせるものの
到着した時には知らんぷり。
私はどこも悪くない
救急車なんて頼んでないと言う。
なかなかの
困ったおばあちゃんだと。

包括から引き継いだケアマネさんは
なんとかサービスにつなげようと
手を尽くしてみたけれど…
お手上げ状態。
困った末に…
小規模多機能でなんとかして〜
と依頼があったのが2年ほど前でした。



私たちによる関わりが
始まりました。

ガーデンにきちんと通い
決められた日にお風呂に入り
嫌がらずにシャンプーをする。
届けた食事をしっかり食べ
ゴミはゴミ箱にすてる。
車に乗ったら
シートベルトは外さない!
近所に迷惑をかけずに暮らしていく。

簡単なようですが
これを当たり前にできるように
なるまでの支援は大変でした。

やさしい声掛けに
応じてくれるときばかりでは
ありませんでした。
怒鳴られても ひるむことなく
時には毅然とした態度で
ハッキリ、きっぱり
ダメなものはダメなんだと
伝えてきました。

関係性ができてくると
訪問するスタッフに
弱音を吐くこともあった…。
「一人で寂しい。帰らないで。
私どうすればいいの?」
「老人ホームに入ろうかな」
いつしかそんな発言が出るように
なってきました。


そういう時期かもしれないな…。
2年前の女性だったら
受け入れてくれる施設はまず
なかったでしょう。
でも私たちとの関わりを積み重ね
集団の中で過ごせるように
なった今なら、
大丈夫だと思いました。

私たちのグループホーム
入居できたらそれが一番だと
思うのですが、空きがない…(๑•﹏•)
近所にオープンした
グループホームさんに相談したら
受け入れてくれると
言ってくださいました。


身寄りがない女性のために
入居のための準備は
私たちでお手伝いしました。
衣類、寝具、足りないものは
買い足して全部に名前を
記入しました。

自分がどうしてこうなったのか
すぐに忘れてしまうから
これを見てもらおう。

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大丈夫かな(。•́︿•̀。)
新しい環境で
またワガママばかり
言わないだろうか。
その女性の可愛らしい部分を
見つけてもらえるだろうか。

なんか…手塩にかけて育てた娘を 
お嫁に出すような気持ちに
なってしまったなぁ…( ・ั﹏・ั)

新しい生活に馴染めますように。
いってらっしゃい!