関わるなかで知ること

認知症という病気になると
多くの場合、
今さっきのことを忘れてしまう。
それなのに
昔のことは鮮明に覚えていたりする。

短期記憶障害。

新しいことを覚えるのは
むずかしいんだな.......

関わるなかでいつも感じます。


何年も前から
ご入居されているのに
ここに泊まったことはないと言う。

数ヶ月前から
ご利用されているのに
ここには初めて来たと言う。

でも、不思議と
自分の部屋には迷わず行くし
スタッフの顔も覚えてくれる。
下駄箱の中の靴が入ってる
場所も覚えてる。
たくさんある歯ブラシの中から
自分のものをスっと取り出す。

毎日毎日くり返していくと
脳ではなくて
身体で覚えるのかもしれないな…( ˙o˙ )


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夜間の排泄における支援方法で
今まさに
試行錯誤を重ねているお客さまがいます。

ご本人のできる能力と
難しくなってきた動作。

夜勤に入ってくれるスタッフから
情報を集めます。

・尿意を感じて起きることはできる
・その時点では失禁してない
・部屋からトイレに向かうことはできる
・トイレについた時には濡れている
・部屋の中に汚れた下着やパットを隠す
・自分の衣類で汚れを拭き取ることもある

このケースの場合、
紙のパンツを履いたり
吸収量の多いパットに替えることは
意味があるように思えますが
問題の解決にはならないと思っています。

そう言うと
フロアの主任は頭を悩ませ
それならば…と
部屋にポータブルトイレを
設置してみました。

初めは拒絶反応。

説明する、納得する、忘れる。

部屋に置いても使わないで
トイレに出てくる。

説明する、納得する、忘れる。

見慣れないものが部屋にあるから
眠れないと言って
落ち着かない。
フロアを歩き回る。

使ってくれた夜もあった。
汚れたバケツをご自分で洗おうとして
洗面台に流したこともあった。


寝てもらえないと夜勤者は大変です。

「ポータブル、意味あります?」
「ぜんぜんダメです。使いません」
そんな声も出始める。

でもさ。
新しいことを覚えるのが大変なのは
みんな知ってるじゃない。
そんなにすぐに評価しないでさ、
くり返して行こうよ。
頭で理解するのは難しくなってるけど
毎日くり返すことで
身体が覚えるのを信じよう。

ポータブルトイレを使うことで
夜間の排泄が自立すれば
汚れた衣類を交換しながらご本人が
「すみませんね」
「私はもうダメね」って
悲しい顔をすることもなくなる。

そんな顔 させたくないじゃない。



取り組みはまだ始まったばかり。